ロカオプ技術ブログ

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【プロダクトマネジメント論】SaaSプロダクトで重要な「アウトカム」について考えます。

概要

みなさんこんにちは。フルスタックエンジニアの高瀬 @takasehiromichi です。

今回は、SaaSプロダクトにとって重要な「アウトカム」について考えてみたいと思います。

「アウトカム」という言葉

皆さんは、「アウトカム」という言葉をご存知ですか?

「アウトプット」は、「インプット」を処理した結果の出力のことですが、「アウトカム」は、「アウトプット」によって生じた状態のことを言います。つまり、アウトプットが生じたことで、状態にどのような変化が生じたか?ということですね。

SaaSプロダクトのインプット

では、SaaSプロダクトにおけるインプットとは、一体なんでしょうか。

SaaSプロダクトとしての活動を前提として考えると、やはり会社の方向性、ビジョンがあるでしょう。会社の目標や、会社がどうなりたいか?によって、SaaSプロダクトとしての活動も変わってきます。

また、企業としてのビジネス戦略もインプットになります。売上はどこまでが目標なのか。どこに売っていくのか。どのようにプロダクトを展開していくのか。

プロダクトビジョンもインプットです。このプロダクトのターゲット顧客は誰か?どのような価値を提供するのか?顧客のニーズは何か?

そしてプロダクト戦略。プロダクトビジョンをどう実現していきますか?競合よりも安いプロダクトが強みですか?1つのパッケージにオールインワンである点が強みですか?特定の業種に特化している点が強みですか?

決して忘れてはいけないのが、競合の状態です。競合はどんな機能を提供していますか?どういった価値を提供していますか?自社にしかない強みはなんですか?

そして、市場の状態も、重要です。市場は、今後も拡大を続けていきそうですか?市場規模はどのくらいですか?異なる市場に潜在的な価値がありませんか?

最も価値があるのは、顧客の声です。顧客は何に困っていますか?プロダクトはその困りごとにどうアプローチできますか?プロダクトに不足しているソリューションはなんですか?

こうしてみると、さまざまなインプットがありますね。SaaSプロダクトを複雑たらしめているのは、まさにこういった複数の複雑な要素がインプットとして入ってくるため、これを処理する際も、複雑で難易度の高い分析が必要になるためと思われます。

SaaSプロダクトのアウトプット

処理について考える前に、SaaSプロダクトのアウトプットを考えてみましょう。

わかりやすいのは、やはり新機能でしょう。今までなかった機能が増える。とてもわかりやすいです。

ビジネスの側面から考えると、新料金体系もあるかもしれません。

バグの指摘があれば、バグ修正もありますね。

企業活動としては、プレスリリースもアウトプットにあたるでしょう。

機能の見直しをして、機能改善がされることもあるかもしれません。

別アプローチとして、新プロダクトを立ち上げるかもしれません。

サービスの提供という観点から言えば、カスタマーサクセスもアウトプットになるかもしれません。

やはり、多方面にまたがるアウトプットが多数存在します。

SaaSプロダクトの処理

では、インプットをアウトプットにするためには、どのような処理が必要でしょうか。

この処理はもっとも難しい活動です。理由を記載します。

インプット量が多すぎる

アウトプットをするためには、インプットからある程度情報を取捨選択し分析した上で処理を実施しなければなりませんが、なにぶんインプットが日々大量にくるため、分析する量も大量になります。

スピード感を持ってやらないと競合に追い負けてしまう

そこに追い打ちをかけるのがこれです。ビジネスというのは、たいてい競合他社がいるものです。大量の分析に時間をかけすぎていると、スピード感のある競合他社がいた場合、成長速度で負けてしまいます。なので、ちまちまゆっくりと分析をしている時間はありません。

きちんとした分析をしないと的外れなアウトプットを生み出してしまう

が、分析をきちんとしないとどうなるかわかりますか?誰も使わない機能を作る。誰も求めていない新料金体系を作る。誰も求めていない機能改善をする。誰も求めていないプロダクトを作る。想定される限り最悪の事態が起こってしまいます。分析のジレンマです。

正解がわからない

じゃあ、SaaSプロダクトにとっての理想はなんでしょうか?誰もが求めている機能を作る。誰もが求めている新料金体系を作る。誰もが求めている機能改善をする。誰もが求めているプロダクトを作る。最高です。

不確実性が多すぎる

本当に?誰もが求めているプロダクト、だなんて、どうやって知ることができるのでしょうか?それぞれの事情や背景が、顧客によって異なったり、抱えている問題や課題も違うのに、誰もが求めているプロダクトをどうやって決めますか?

誰もが求めているプロダクトは作れない

そうです。誰もが求めているプロダクトは作れないのです。その代わり、求めている人が比較的多いプロダクトなら、作れそうではないでしょうか。その市場の中で、顧客の中で、これが欲しい!という声が多いもの。そこにリーチするようにすれば、そこに欲しがっている対象がいるわけですから、不確実性はグンと下がりそうです。

結局、顧客視点が必要

詰まるところ、どんな機能を作るか、どんな機能改善をするか、どんなプロダクトを作るかというのは、ビジネスの観点だけでは決められません。必ず、顧客の声を聞いて、顧客視点を持つことが重要です。

顧客の問題を解決したり、顧客の要望やニーズを満たしたりするような状態に変化するような処理が必要です。

あれ...?これって...

ん?状態に変化?これって...アウトカム?!

SaaSプロダクトのアウトカム

はい。ということで、手前味噌ですが、アウトカムは言ってしまえば、顧客の状況にどんな変化をもたらすかということです。

新機能を作ることで、顧客の状態はどのように変化するか?ここの状態の変化に、顧客の利益増加がもたらされると、良いですね。

どうなりそうか?どうなるのが理想か?を考える必要があります。

SaaSプロダクトの価値は、言ってしまえば、今までできなかったことができるようになるか、顧客が1つの作業に投入していた時間を減らすことができるようになるかの2つです。そして、顧客の生産性が向上し、違うことにリソースを使うことができるようになります。

そして、プロダクトとしてはユーザー体験の向上も欠かせません。せっかく頑張ってプロダクトを作っても、使い心地が悪いせいでプロダクトを使ってもらえなければ元も子もありません。

顧客の課題解決も、忘れてはいけませんね!

SaaSプロダクトの処理・再

ここまでを踏まえて!やっと処理について触れることができます。

ここまでやった通り、アウトカムが重要なので、アウトプットだけをみて、ただ機能を作ればいい、ただプロダクトを作ればいいと考えていると、失敗します。月に何個機能を作ったか、年に何個プロダクトを作ったか、などの指標は、全く意味がありません。それよりも、何個アウトカムを実現したか?の方が重要です。

それでは、アウトカムを実現するアウトプットを実現するための処理を行うためには、どうすればいいのでしょうか。

まずは、顧客からの要求の収集です。この際、顧客の声をそのまま収集しないでください。なぜ必要なのか?どういう背景があるのか?真の抱えている問題は何か?顧客の抱えている問題に恋をしてください。問題が気になって仕方がなくなるはずです。決して、何が欲しいですか?と聞かないでください。ソリューションを提案するのはプロダクトを作成している我々の責任です。

そうすると、質の高い、プロダクトに関する問題が収集されるはずです。この問題をどんどん集めていきます。

次に、問題をソートします。何が一番アウトカムを生み出しそうですか?インパクトがありそうな問題はなんですか?

そして、問題を解決しそうなソリューションを見出します。ソリューションは、複数あるかもしれません。問題を解決する方法を模索します。

ソリューションを複数見つけたら、それらのうちどれを対応するか選定します。

ソリューションが決まったら、対応しましょう。

対応できたら、リリースします。

リリースの後に

リリースできて終わり、ではありません。リリースした結果、本当にアウトカムを実現しているか確認しなければなりません。確認方法はさまざまあるため、企業にあった方法で確認する必要があります。また、SaaSプロダクトは不確実性の塊であるため、ここまでやってもアウトカムに結びつかない可能性もあります。その時は、やってきたことを見直して、また1から対応していかなければなりません。

まとめ

こうしてみると、やはりSaaSプロダクトというものは難しいです。不確実性の塊に対して、いかに事前準備の上、不確実性を極力下げた状態を実現できるか。さらにその方法でPDCAサイクルを回せるか。これが、全社員一丸となって対応しなければなりません。

ただし、アウトカムを実現できたときは、感無量です。今後もアウトカムを意識してSaaSプロダクトを成長させていきたいと思います。